川や池、湖など、日本の多くの場所から、いろいろな魚が姿を消していきました。その理由をひと言でいうならば、生息環境の変化です。では、淡水域における生息環境にはどんなものがあるのでしょうか。もっとも重要なことが、産卵に適した場所の有無です。こうした場所が失われると、魚はやがて絶滅してしまうからです。次に、エサを取ったり外敵から身を守る場所の有無ということになってきます。
こうしたことをもう少し詳しくみると、流れの有無や早さ、水深、川底の状態、水温などが考えられます。一方、自然の川は上流域から下流域まで、さまざまに変化します。ところで、川の上流、中流、下流は、どうやって区別するのでしょうか。単純に川全体の長さを3分の1ずつ区切っているわけではありません。
自然のままの川というのは必ず蛇行しています。また、流れが早く水面が波立っている早瀬、流れは早くても水面が波立っていない平瀬、これら瀬と瀬との間に形成されている淵があります。早瀬は主に渓流に見られ、平瀬は中流で多くみられます。
1つの蛇行区間内に、瀬と淵の組み合わせが複数出現するのを上流域、1つしか出現しない場所を中流域、ほとんど出現しない平坦な流れの区域を下流域といっています。ただし、海まで一気に流れ込んで、下流域を形成しない川や、湖などを源流とするため上流域の流れをつくらない川もあります。
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自然の川は瀬と淵をもち、これらの関係から上流、中流、下流といった3つの形態に大きく分けられます。この形態の違いは生物の生育環境にも関係してきます。
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上流
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中流
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下流
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