フジクリーン工業株式会社
水の話 淡水にすむ魚part1
淡水魚の生育する場所

川をきれいにすることは、自然度を高める一つの条件
 かつて、川や池、湖などでごくふつうにみられた魚のうち、ここ数10年で急激に数を減らしたり、一部の区域では絶滅した魚たちがたくさんいます。原因はどこにあるのでしょう。たとえばメダカ、昔は田んぼの中でもよく見られました。メダカが減少していった理由を考えると、まず農業形態の変化があげられます。川から田んぼへ直接水を引けば、メダカもそのまま入り込めます。しかも田んぼは大雨が降ったときなど、メダカにとっては避難場所ともなりました。しかし、ポンプによって田んぼへの水を汲み上げるようになったため、メダカが入り込めなくなってしまいました。しかも農薬の使用は、メダカにも打撃を与えることになりました。さらに中小河川の改修は、メダカがすむのに適した流れがゆるく浅い場所や、産卵のための水草がある場所などを減少させました。また、水温や塩分濃度の変化にはかなりの適応力をもっていますが、水の汚れにはあまり強くないようです。このように、さまざまな要因がからみあって、減少していったようです。

長野県の伊那谷(天竜川)ではザザムシが珍味として食べられています。ザザムシはカワゲラ、トビケラなどの総称です。ザザムシの種類や採れる量は時代とともに変化があるようです。原因の一つとして、水の汚れが考えられています。


 では、水の汚れそのものは、魚たちにとって、どのくらい影響を与えているのでしょうか。たとえば水の汚れ具合を、その水域にすんでいる生物の種類によって判定する方法が行われています。ところがヒゲナガカワトビケラのように、川の上流部から下流のかなり汚れた水域にまで生息している生物は決して少なくありません。

 つまり、水温やエサの有無の方が、水質よりも重要な要素となることもあるのです。ただし、それまですんでいた生物の数に変化が見られたときは、環境に何らかの変化があったとみるべきです。生物による水質判定は、あくまでもごく大雑把な基準でしかないのです。たしかに、水の汚れは結果的に水中の岩を水アカでおおい、魚のエサとなる藻の生育を妨げたり、産卵に適した川底を変化させたりします。あるいは水温を変化させることがあるかもしれません。しかし、水質そのものが魚のすめる環境を大きく変えてしまうとは言い切れません。このことを間違えると、魚が戻ってきたから水がきれいになったと判断してしまうことがあるかもしれません。

 生物による判定は、あくまでも自然度の基準なのです。もちろん、水をきれいにすることは、自然度を高める1つの条件であることはたしかです。


メニュー1 2 3 4 5 6 7 8 9次のページ