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Topics 05-02
適正な透析廃水処理
未処理の透析排水による下水道管の腐食被害が問題化
医療機関で使用されるさまざまな薬品などには、下水道排水の規制対象となっている物質を含むものも少なくありません。例えば人工透析装置内部の洗浄には、酢酸や次亜塩素酸ソーダなどの薬品を使用するため、排水が酸性あるいはアルカリ性になり、水素イオン濃度(pH)が排除基準に適さない恐れがあります。酸性に偏った透析排水が下水道に流された結果、汚水ますや管きょを腐食させる懸念もあります。自治体でも、透析排水による局所的な腐食を把握し注意を促していますが、情報が十分に行き届かず、対策がとられないままとなっているケースもあります。
未処理廃水の垂れ流しは大きな事故につながる
水質汚濁防止法の排水基準には、海域以外の公共用水域に排出するものはpH5.8以上8.6以下と定められています。各市町村が定める下水道条例の多くも、pH5.0以上9.0以下と記されており、薬品洗浄時の透析廃水はこれに当てはまりません。 特に酸性の廃水をそのまま下水道に流すと、下水道管が腐食するだけでなく、道路が陥没するなど、大きな事故につながる恐れがあります。
東京都では、都内透析施設を対象に調査を実施したところ、十分な排水処理がされていない施設が多数存在することが判明しました。この事態を重く受け止め、国土交通省は全国の下水道関係者に対して情報共有の通達文書を、厚生労働省は透析医療機関などに対し下水排除基準の徹底遵守を求める通達文書を、それぞれ発行しました。
【透析関連排水に関する勧告】
1.中和処理装置(システム)の設置
法および条例で規定されている「水素イオン濃度(例:東京都23区の規制ではpH:5を超え9未満)」を満足すべく中和処理装置(システム)の設置を原則とする。なお、使用する装置(システム)については、届出等各自治体関連部署の指示に従うものとする。
2.適正な消毒剤・洗浄剤の使用
1.を達成すべく、適正な消毒剤・洗浄剤を使用する。
具体的にはメーカー指定のものを所定の方法で使用する。
3.適正な排水管理
基準を満たす排水が流れているか、排液モニタリング(排液pH測定等)を通じて適正に排水管理する必要がある。
2019年、関連機関が透析排水の適正処理を勧告
この通達文書を受け、関連機関ではさまざまな対応策に乗り出しています。2019年1月に日本透析医学会・日本透析医会・日本臨床工学技士会は、3団体によるワーキンググループを設置。4月には透析関連排水に関する勧告を発表したのをはじめ、3団体に関連する学会での特別講演による啓蒙活動の実施、透析排水管理のマニュアル作成などの活動を、順次進めることになっています。 さらに各地の下水道局でも、透析排水の適正な処理についての講演会の実施やパンフレットの配布などの啓蒙活動に加え、病院やクリニックに対してpH値の抜き打ち検査を実施し、下水排除基準を遵守できていない施設に対して適宜指導を行うケースも出ています。中には、下水排除基準を遵守せずに下水道施設に損傷が発生した場合、行政処分や損傷負担金について言及する地域もあるなど、早急な対応が求められています。
適正な透析廃水処理を、フジクリーンの製品がお手伝いします
■pH調整ユニット[処理能力:〜80床]
中和した処理水のpH値を常時モニターする『制御+監視タイプ』、処理水のpH値を記録する『制御+記録タイプ』をご用意しています。
■除害ユニット[処理能力:10〜80床]
担体流動方式の採用で、微生物を担体に付着・増殖させることにより生物量を保持します。
微生物の代謝能力により有機物の分解を行います。